設備メーカーの営業担当から「この機械ならカタログ型で補助金が使えますよ」と言われ、一般型との違いが分からず迷っていませんか。省力化投資補助金のカタログ型と一般型の違いは、ひと言でいえば「登録済みの製品をそのまま入れるか、自社に合わせた設備を計画して入れるか」です。
カタログ注文型は、申請の手間が少なく、随時申し込めます。一般型は、事業計画づくりに時間がかかる分、補助上限が大きく、設備の組み合わせや改良も対象になります。
この記事では、カタログ注文型の公募要領(2026年10月20日改訂)と一般型の第8回公募要領(2026年8月公表、9月18日改訂)、公的機関が公表した活用事例6件を基に、2つの型の違いと選び方を解説します。制度の内容は2026年10月27日に公式サイトで確認しました。
省力化投資補助金 カタログ型と一般型の違いを一覧で比べる
まず、2つの型の主な違いを表にまとめます。
| 項目 | カタログ注文型 | 一般型 |
|---|
| 対象 | 製品カタログに登録された汎用製品 | 自社の業務に合わせた設備・システム(組み合わせや改良を含む) |
| 補助上限 | 500万〜1,000万円(賃上げ目標の達成時は750万〜1,500万円) | 750万〜8,000万円(大幅賃上げ特例で1,000万円〜1億円) |
| 補助率 | 1/2以下 | 中小企業1/2、小規模事業者・再生事業者2/3 |
| 申請の進め方 | 販売事業者と共同で申請 | 自社で事業計画を作り申請(口頭審査は申請者本人が対応) |
| 受付 | 随時 | 公募回ごと(年3〜4回の予定) |
| 決定までの期間 | 申請から概ね1〜2か月で採択・交付決定 | 締切から採択発表まで約3〜4か月、その後に交付申請 |
| 導入までの期間 | 交付決定から原則12か月以内 | 交付決定から17か月以内 |
| 主な目標 | 労働生産性を3年間で年平均3.0%以上向上 | 労働生産性 年平均4.0%以上、1人当たり給与支給総額 年平均3.5%以上など |
出典:中小企業基盤整備機構『中小企業省力化投資補助事業(カタログ注文型)公募要領』(2026年10月20日改訂)、同『(一般型)公募要領(第8回公募)』(2026年8月、9月18日改訂)、同事務局公式サイトのスケジュール
一般型の公募要領は、申請を考える前にカタログ注文型の製品カタログを必ず確認するよう案内しています。カタログに載っている製品は国が省力化効果を認めたもので、申請が迅速かつ簡易だからです。最初の一歩は、どちらの型でも「製品カタログを見ること」です。
カタログ注文型とは:登録製品を選んで早く導入する
カタログ注文型は、清掃ロボット、配膳ロボット、無人搬送車、スチームコンベクションオーブンなど、カタログに登録された汎用製品を導入する型です。製品カテゴリと省力化の基準は工業会などの審査を経て決められ、製品ごとに補助額の上限も登録されています。
カタログ注文型の申請の流れ(出典:中小企業基盤整備機構『カタログ注文型 公募要領』(2026年10月20日改訂)、同事務局公式サイト「申請の流れ」を基に当社作成)申請は、製品を扱う販売事業者と共同で行います。省力化効果の判定シートは販売事業者が添付し、中小企業は販売事業者からの招待を受けて電子申請します。採択と同時に交付決定となるため、導入までが早いのが特長です。
補助上限は、交付申請時点の従業員数で決まります。
| 従業員数 | 補助上限額 | 賃上げ目標を達成した場合 |
|---|
| 5人以下 | 500万円 | 750万円 |
| 6〜20人 | 750万円 | 1,000万円 |
| 21人以上 | 1,000万円 | 1,500万円 |
出典:中小企業基盤整備機構『中小企業省力化投資補助事業(カタログ注文型)公募要領』(2026年10月20日改訂)2-1
2026年3月19日の制度改定で、20人以下の事業者の上限が引き上げられました。賃上げ目標は、事業場内最低賃金を3.0%以上、給与支給総額を6.0%以上、補助事業の終了時点までに引き上げる計画です。ここでの給与支給総額は所定内給与のみで、賞与は含みません。
申請時には、残業が月平均30時間を超えている、求人を出しても採用できなかったなど、人手不足の状態を一つ選んで示します。製品本体は単価50万円以上(一部カテゴリを除く)で、設置や設定などの導入経費は本体価格の2割まで対象です。1回の申請で選べる製品は1種類ですが、補助金の支払いが済めば、上限の2倍までの累計で2回目以降も申請できます。
カタログ注文型の活用事例
中小企業庁は、補助金の受け取りまで終えた事業者の声を事例集にまとめています。
カタログ注文型の活用事例(出典:中小企業庁『カタログ注文型 活用事例集(初版:第1版)』(2025年2月)を基に当社作成)従業員3人のカフェは、フライパンでハンバーグを一度に2〜3個しか焼けず、火の前で待つ時間が負担でした。スチームコンベクションオーブンを入れて1回20個を焼けるようになり、空いた時間を接客の向上や新メニューの開発に充てています(出典:中小企業庁『カタログ注文型 活用事例集』)。
土産物販売と食事処を営む従業員52人の小売業は、名物料理の調理に1人で60分かかっていました。同じオーブンで15分になり、修学旅行や訪日客向けの大量調理に対応できるようになっています。
従業員272人のプレス部品製造業は、無人搬送車で部品の運搬を2名から1名の体制にしました。事業者は、自社側の申請手続きで担当者の時間がほとんど取られなかったと話しています。宿泊業の事例でも、販売事業者と一緒に申請文を考えられて安心だった、という声が紹介されています。
一般型とは:自社に合わせた設備で大きく省力化する
一般型は、個別の現場や事業内容に合わせた設備導入やシステム構築を支援する型です。補助上限は最大1億円で、ハードとソフトを自由に組み合わせられます。
カタログに載っている種類の製品でも、そのまま入れるだけなら一般型の対象にはなりません。導入環境に合わせて周辺機器や機能が変わる場合や、汎用設備を複数組み合わせて高い効果を生む場合に対象となります。代表もYouTubeで、カタログにない設備なら何でも一般型でよいわけではなく、自社に合わせたオーダーメイド性が求められると解説しています。
一般型の採択事例
中小機構は、採択された計画の概要を公表しています。第3回の資料から2件を紹介します(数字はいずれも計画上の見込み)。
電気機械器具製造業の事業者は、仕掛品や在庫の管理と出荷を人手で行っていました。リフト式自動収納システム、自律走行搬送ロボット、パレタイジングロボット、自動包装システムを組み合わせ、80時間程度の作業を20時間程度に減らす計画です。在庫・出荷の担当者は新しい生産ラインへ移り、増産と外注作業の内製化につなげます(出典:中小企業基盤整備機構『一般型公募(第3回)採択結果について』)。
建設業の事業者は、工事の積算から見積作成まで1件2時間以上かかり、営業の時間が取れていませんでした。過去の見積や資材価格を学習させたAIの見積自動作成システムを構築し、所要時間を約4分の1にする計画です。生まれた時間は提案書づくりなどの営業活動に回します。
どちらも「複数の設備をつなぐ」「自社のデータを使う」といった、汎用品の単品導入ではできない工夫が計画の柱になっています。一般型の事業計画の立て方は、省力化投資補助金(一般型)の事業計画の立て方で詳しく解説しています。
どちらを選ぶか:設備の使い方と補助を受けたい額で考える
選び方は、次の2つの軸で整理すると迷いません。
どちらの型を選ぶか(出典:中小企業基盤整備機構『カタログ注文型 公募要領』(2026年10月20日改訂)、『一般型 公募要領(第8回公募)』を基に当社作成)- 必要な設備が製品カタログにあり、そのまま使えて上限内に収まるなら、カタログ注文型が早くて手間も少ない
- 複数の設備を組み合わせる、自社の工程に合わせて改良する、システムと連携させるなら一般型
- 早く導入したいならカタログ注文型、半年から1年かけて準備できるなら一般型も選べる
- 一般型は、労働生産性と賃上げの計画を3〜5年分(当社は3年で作成)組み立てる
代表はYouTubeで、カタログ型は省力化効果があらかじめ認められているため、計画を作り込む負担が小さいと解説しています。一方で、補助金が使えるから買う、という順番は勧めていません。補助があっても半分は自己負担なので、まず自社に本当に必要な設備を決め、それがカタログにあればカタログ注文型を使う、という順番です。
製品カテゴリごとに、対象となる業種も決まっています。代表がYouTubeで紹介した当社へのご相談では、卸売業の会社が社員食堂用にスチームコンベクションオーブンを申請しようとしましたが、動画の公開時点ではそのカテゴリの対象業種に卸売業が含まれていませんでした。製品カタログでは、製品名と一緒に対象業種も確かめておくと安心です。
2つの型を組み合わせるときのポイント
同じ経費について、国の補助金を重ねて受けることはできません。カタログ注文型の公募要領では、次の点も確認できます。
- 新事業進出補助金などで採択された事業に使う機器は、カタログ注文型の対象外
- デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)と同じ業務プロセスに導入する事業は対象外
- 省力化を目的とする制度のため、新規事業は対象外
一般型では、応募申請・交付申請中や、補助金の支払いが完了していない間は、次の一般型に申請できません。工場の搬送はカタログ注文型、加工ラインの自動化は一般型、というように別の設備で両方を検討する場合は、申請の順番と時期を事前に事務局のコールセンターへ確認しておくと確実です。
新製品の開発や新しい市場への進出が目的なら、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金が合う場合もあります。制度の比較は設備投資の補助金の選び方で紹介しています。
補助金が入るまでの資金の準備
どちらの型も、補助金は実績報告のあとに額が確定してから支払われる精算払いです。設備代はいったん自社で支払います。
仮に従業員10人の会社が、税抜1,000万円の登録製品をカタログ注文型で導入するなら、補助金は最大500万円です(補助率1/2、製品ごとの上限内であることを前提にした仮定)。支払いは税込1,100万円なので、入金までの資金は自己資金か融資で用意します。ファイナンス・リースを使う場合は、補助金はリース会社に支払われ、毎月のリース料が減額される仕組みです。
一般型は投資額が大きくなりやすいため、計画の段階から金融機関に相談しておくと安心です。資金の組み立て方は補助金は後払い。設備投資の資金繰りとつなぎ融資で解説しています。
専門家のサポートを受けるときに確認したいこと
カタログ注文型は販売事業者が申請をサポートします。一般型は事業計画の組み立てが大切になるため、専門家と一緒に進める企業が多くあります。依頼先を比べるときは、次の3点を確認してください。
- 着手金の有無
- サポートの範囲が採択までか、交付申請・実績報告を経て入金までか
- ホームページに書かれた成功報酬と、入金までにかかる総額が同じか
依頼先の選び方は補助金の依頼先の選び方で詳しく紹介しています。
最新の公募情報(2026年10月27日確認)
- カタログ注文型:随時受付中。採択・交付決定は申請から概ね1〜2か月。公募要領は2026年10月20日に改訂され、申請の受付は2027年3月末頃までの予定
- 一般型 第9回:2026年11月上旬に公募開始、12月上旬に申請受付開始、12月下旬に締切の予定(採択発表日は後日公表)。第9回の公募要領は未公表のため、本記事の一般型の説明は第8回公募要領に基づいています
- 一般型 第8回:2026年10月16日17時で受付終了。採択発表は2027年2月上旬の予定
- 一般型の過去の採択率:第4回69.3%、第5回61.5%、第6回63.9%(公式の採択結果ページの申請数と採択数から、採択数÷申請数で当社算出)
どちらの型も、申請にはGビズIDプライムアカウントが必要です。取得には時間がかかるため、早めに手続きしておきましょう。
まとめ
- カタログ注文型は登録製品をそのまま入れる型。販売事業者と共同で随時申請でき、申請から概ね1〜2か月で交付決定となる
- 一般型は自社に合わせた設備やシステムを計画して入れる型。上限は最大1億円で、組み合わせや改良にも使える
- 選び方は「設備をそのまま使うか、自社向けに合わせるか」と「補助を受けたい額」の2軸で考える
- まず本当に必要な設備を決め、製品カタログで製品と対象業種を確かめてから型を選ぶ
株式会社ウェルティイノベーションでは、公認会計士・税理士・行政書士の資格を持つ代表のもと、どちらの型が合うかの見極めから、一般型の事業計画と申請書類の作成支援、賃上げを織り込んだ損益計画、精算払いを前提にした資金繰りまで一体でご支援しています。補助金の採択支援額は累計13億円超です。報酬は着手金無料の完全成功報酬で、交付申請や実績報告など入金までの手続きもすべて含み、追加料金はありません。導入を考えている設備と投資額、現場の課題をお知らせください。
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